FA 獲得の順位 - 1 位は読売ジャイアンツの 11 人
2016〜2025 年のオフシーズンに出た FA 宣言の公示を数えると、FA で他球団の選手を獲得した数が最も多いのは読売ジャイアンツの 11 人で、同じ期間に読売から国内の他球団へ FA で移った選手は 0 人だった (海外へは菅野智之が 2024 年のオフに FA で出た)。メジャー帰りの獲得 1 人を足した合計 12 人は、2 位の福岡ソフトバンクホークス (FA 獲得 4 人とメジャー帰り 2 人で 6 人) のちょうど 2 倍にあたる。3 位は合計 5 人の東北楽天ゴールデンイーグルス (FA 獲得 4 人とメジャー帰り 1 人) で、合計 4 人の北海道日本ハムファイターズとオリックス・バファローズが 4 位に並ぶ。
| 順 | 球団 | FA 獲得 | FA 流出 | 純増 | メジャー 帰り | 合計 | 優勝 | 平均 順位 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 読売ジャイアンツ | 11 | 0 | +11 | 1 | 12 | 3 | 2.67 |
| 2 | 福岡ソフトバンクホークス | 4 | 5 | -1 | 2 | 6 | 4 | 1.89 |
| 3 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 4 | 3 | +1 | 1 | 5 | 0 | 3.89 |
| 4 | 北海道日本ハムファイターズ | 4 | 6 | -2 | 0 | 4 | 0 | 4.33 |
| 4 | オリックス・バファローズ | 4 | 4 | 0 | 0 | 4 | 3 | 3.44 |
| 6 | 千葉ロッテマリーンズ | 3 | 1 | +2 | 0 | 3 | 0 | 3.89 |
| 7 | 阪神タイガース | 2 | 1 | +1 | 0 | 2 | 2 | 2.44 |
| 7 | 埼玉西武ライオンズ | 2 | 6 | -4 | 0 | 2 | 2 | 3.56 |
| 7 | 横浜 DeNA ベイスターズ | 1 | 6 | -5 | 1 | 2 | 0 | 3.22 |
| 10 | 中日ドラゴンズ | 1 | 2 | -1 | 0 | 1 | 0 | 5.00 |
| 10 | 東京ヤクルトスワローズ | 1 | 0 | +1 | 0 | 1 | 2 | 4.22 |
| 10 | 広島東洋カープ | 0 | 3 | -3 | 1 | 1 | 2 | 3.44 |
合計は FA 獲得とメジャー帰りの獲得の和で、合計が同じ球団は同じ順位にした。純増は FA 獲得から FA 流出を引いた数。優勝はリーグ優勝の回数、平均順位はリーグ内の順位 (1〜6 位) の平均。
球団別の FA 獲得数 (2016〜2025 年の FA 宣言)
棒の中の数字は人数。
数え方 - 宣言球団と契約球団が違う公示だけを数える
数えたのは、NPB が公示する FA 宣言選手の一覧のうち、宣言した球団と契約した球団が違う行だけである。FA 宣言をして元の球団と再契約した選手は数えていない。表の FA 流出は国内の他球団へ FA で移った選手の数で、FA 宣言して海外の球団と契約した平野佳寿 (オリックス・バファローズ、2017 年のオフ) / 秋山翔吾 (埼玉西武ライオンズ、2019 年のオフ) / 澤村拓一 (千葉ロッテマリーンズ、2020 年のオフ) / 千賀滉大 (福岡ソフトバンクホークス、2022 年のオフ) / 松井裕樹 (東北楽天ゴールデンイーグルス、2023 年のオフ) / 菅野智之 (読売ジャイアンツ、2024 年のオフ) の 6 人は、どの球団の流出にも入れていない。期間は 2016〜2025 年のオフシーズンの 10 回分で、これより前の公示は契約球団が読める形で公開されていないため外した。FA 権の取得条件や人的補償の仕組みは、記事「NPB FA 制度の光と影」で扱っている。
題の「カネ」は、FA 市場で他球団の選手を獲得した人数の多さを指す。契約の金額や年数は公示に載らないため書いていない。FA 宣言の公示に載らない移籍はこの順位に入れておらず、末尾の節で挙げる。
FA 流出 - 選手が出ていった球団
FA で選手が出ていった数は、北海道日本ハムファイターズ / 埼玉西武ライオンズ / 横浜 DeNA ベイスターズの 6 人が最も多い。純増で見ると DeNA の -5 と西武の -4 が大きく、DeNA からは山口俊 / 梶谷隆幸 / 井納翔一の 3 人が、西武からは野上亮磨 / 炭谷銀仁朗の 2 人が読売へ移った。国内への流出が 0 人なのは読売と東京ヤクルトスワローズの 2 球団だけで、読売の純増 +11 は 12 球団で唯一の 2 桁になる。
球団別の FA 流出数 (2016〜2025 年の FA 宣言)
棒の中の数字は人数。
読売へ移った 11 人の元の球団は、DeNA が 3 人、日本ハム / ソフトバンク / 西武が 2 人ずつ、広島と楽天が 1 人ずつで、読売が買う側に立つほど、他球団は選手を手放す側に回る。純増がプラスの球団は読売のほかに千葉ロッテマリーンズ (+2) と楽天 / 阪神タイガース / ヤクルト (+1 ずつ) しかなく、どれも 2 人以下にとどまる。
メジャー帰りの別球団入団 - 上沢直之の型
海外へ出た選手が日本へ戻るとき、元の球団ではなく別の NPB 球団と契約する例がある。2016〜2025 年のオフに海外へ出て、2026 年までに別の球団へ戻った選手は 6 人で、牧田和久 (2017 年のオフに埼玉西武ライオンズから海外へ出て、2020 年に東北楽天ゴールデンイーグルス)、秋山翔吾 (2019 年のオフに西武から FA で出て、2022 年に広島東洋カープ)、有原航平 (2020 年のオフに北海道日本ハムファイターズから海外へ出て、2023 年に福岡ソフトバンクホークス)、藤浪晋太郎 (2022 年のオフに阪神タイガースから出て、2025 年に横浜 DeNA ベイスターズ)、上沢直之 (2023 年のオフに日本ハムから出て、2025 年にソフトバンク)、小笠原慎之介 (2024 年のオフに中日ドラゴンズから出て、2026 年に読売ジャイアンツ) だった。日本ハムから出た 2 人がそろってソフトバンクへ入ったため、この欄ではソフトバンクの 2 人が最も多い。
判定は 2 段で、まず公示から海外へ出た選手 (FA 宣言で契約球団のない行と、自由契約選手の公示で「契約保留権放棄」とある行) を拾い、次に後の年の名簿で元の球団以外に名前があるかを見た。期間より前にも同じ型の例があり、入来祐作 (2005 年のオフに北海道日本ハムファイターズから出て、2008 年に横浜ベイスターズ)、チェン・ウェイン (2011 年のオフに中日ドラゴンズから出て、2020 年に千葉ロッテマリーンズ)、前田健太 (2015 年のオフに広島東洋カープから出て、2026 年に東北楽天ゴールデンイーグルス) がそれにあたる。
買った球団は勝ったか - 獲得数と優勝回数を並べる
FA 獲得 11 人の読売ジャイアンツは、2017〜2025 年のセ・リーグの優勝 9 回のうち 3 回を取り、平均順位は 2.67 位だった。同じ期間に優勝が最も多いのは福岡ソフトバンクホークスの 4 回 (平均 1.89 位) で、FA 獲得 4 人に対して流出は 5 人と、出ていく方が多い。オリックス・バファローズは獲得 4 人 / 流出 4 人で優勝 3 回、広島東洋カープは獲得 0 人 / 流出 3 人で優勝 2 回だった。平均順位で読売を上回る阪神タイガース (2.44 位) の FA 獲得は 2 人である。
獲得数と優勝は比例しない。読売は 12 球団で唯一、FA の純増が 2 桁に達しながら、優勝回数はソフトバンクに届かず、獲得が半分に満たないオリックスと並ぶ。FA で選手を集める方針は他球団の選手を引き抜いて戦力差を広げる手段でもあるが、この期間の数字を見る限り、資金力で補強を重ねる球団の方針は勝つための近道になっていない。
球団ごとの顔ぶれ - 獲得 / 流出 / メジャー帰りの選手名
表の数字の中身を球団ごとに並べる。年は FA 宣言の年 (メジャー帰りは新しい球団に入った年) で、括弧の中は移籍元か移籍先の球団。
| 球団 | FA 獲得 | FA 流出 | メジャー 帰り |
|---|---|---|---|
| 読売ジャイアンツ | 2016 年 陽岱鋼 (日本ハム) 2016 年 森福允彦 (ソフトバンク) 2016 年 山口俊 (DeNA) 2017 年 野上亮磨 (西武) 2018 年 丸佳浩 (広島) 2018 年 炭谷銀仁朗 (西武) 2020 年 梶谷隆幸 (DeNA) 2020 年 井納翔一 (DeNA) 2024 年 甲斐拓也 (ソフトバンク) 2025 年 松本剛 (日本ハム) 2025 年 則本昂大 (楽天) | なし | 2026 年 小笠原慎之介 (中日) |
| 福岡ソフトバンクホークス | 2021 年 又吉克樹 (中日) 2022 年 嶺井博希 (DeNA) 2022 年 近藤健介 (日本ハム) 2023 年 山川穂高 (西武) | 2016 年 森福允彦 (読売) 2017 年 鶴岡慎也 (日本ハム) 2019 年 福田秀平 (ロッテ) 2024 年 石川柊太 (ロッテ) 2024 年 甲斐拓也 (読売) | 2023 年 有原航平 (日本ハム) 2025 年 上沢直之 (日本ハム) |
| 東北楽天ゴールデンイーグルス | 2016 年 岸孝之 (西武) 2018 年 浅村栄斗 (西武) 2019 年 鈴木大地 (ロッテ) 2025 年 伊藤光 (DeNA) | 2019 年 美馬学 (ロッテ) 2024 年 茂木栄五郎 (ヤクルト) 2025 年 則本昂大 (読売) | 2020 年 牧田和久 (西武) |
| 北海道日本ハムファイターズ | 2017 年 鶴岡慎也 (ソフトバンク) 2022 年 伏見寅威 (オリックス) 2023 年 山﨑福也 (オリックス) 2024 年 福谷浩司 (中日) | 2016 年 陽岱鋼 (読売) 2017 年 増井浩俊 (オリックス) 2017 年 大野奨太 (中日) 2022 年 近藤健介 (ソフトバンク) 2025 年 石井一成 (西武) 2025 年 松本剛 (読売) | なし |
| オリックス・バファローズ | 2017 年 増井浩俊 (日本ハム) 2022 年 森友哉 (西武) 2023 年 西川龍馬 (広島) 2024 年 九里亜蓮 (広島) | 2016 年 糸井嘉男 (阪神) 2018 年 西勇輝 (阪神) 2022 年 伏見寅威 (日本ハム) 2023 年 山﨑福也 (日本ハム) | なし |
| 千葉ロッテマリーンズ | 2019 年 福田秀平 (ソフトバンク) 2019 年 美馬学 (楽天) 2024 年 石川柊太 (ソフトバンク) | 2019 年 鈴木大地 (楽天) | なし |
| 阪神タイガース | 2016 年 糸井嘉男 (オリックス) 2018 年 西勇輝 (オリックス) | 2017 年 大和 (DeNA) | なし |
| 埼玉西武ライオンズ | 2025 年 石井一成 (日本ハム) 2025 年 桑原将志 (DeNA) | 2016 年 岸孝之 (楽天) 2017 年 野上亮磨 (読売) 2018 年 浅村栄斗 (楽天) 2018 年 炭谷銀仁朗 (読売) 2022 年 森友哉 (オリックス) 2023 年 山川穂高 (ソフトバンク) | なし |
| 横浜 DeNA ベイスターズ | 2017 年 大和 (阪神) | 2016 年 山口俊 (読売) 2020 年 梶谷隆幸 (読売) 2020 年 井納翔一 (読売) 2022 年 嶺井博希 (ソフトバンク) 2025 年 伊藤光 (楽天) 2025 年 桑原将志 (西武) | 2025 年 藤浪晋太郎 (阪神) |
| 中日ドラゴンズ | 2017 年 大野奨太 (日本ハム) | 2021 年 又吉克樹 (ソフトバンク) 2024 年 福谷浩司 (日本ハム) | なし |
| 東京ヤクルトスワローズ | 2024 年 茂木栄五郎 (楽天) | なし | なし |
| 広島東洋カープ | なし | 2018 年 丸佳浩 (読売) 2023 年 西川龍馬 (オリックス) 2024 年 九里亜蓮 (オリックス) | 2022 年 秋山翔吾 (西武) |
この順位の読み方と限界
数えたのは 2026 年 1 月までの FA の公示と、2026 年 10 月までの名簿 (メジャー帰りの判定) である。FA 宣言の公示に載らない移籍 (人的補償 / 金銭での譲渡 / トレード / 現役ドラフト / 自由契約になった選手の入団) と外国人選手の獲得は入っていない。自由契約からの入団には、中島宏之 (オリックス・バファローズ → 読売ジャイアンツ、2019 年) や田中将大 (東北楽天ゴールデンイーグルス → 読売ジャイアンツ、2025 年) などがある。獲得した選手がその後どれだけ活躍したかも数えていないため、順位が示すのは FA 市場でどれだけ買ったかの量であり、補強の成否ではない。各球団の一軍戦力がどの経路で入団したかの割合は、「12 球団の出身構成」の面で球団別に見られる。