DeNA ベイスターズの再建 - IT 企業が変えた球団経営

TBS 時代の低迷

横浜ベイスターズは 1998 年の日本一を最後に長期低迷に陥った。親会社の TBS は球団経営に消極的で、 2002 年から 2011 年の 10 年間で 9 度の最下位を記録した。観客動員数は 1 試合平均 15,000 人を下回り、横浜スタジアムは空席が目立った。選手の年俸総額も 12 球団最低水準で、 FA で主力選手が流出する悪循環に陥っていた。 この問題を正しく理解するには、 NPB の制度設計の歴史的経緯を踏まえる必要がある。日本のプロ野球は MLB の制度を参考にしつつも、日本独自の労使関係や企業文化を反映した独特の仕組みを構築してきた。その結果、国際的に見ても類例のない制度が生まれている。

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DeNA の買収と改革

2012 年、モバイルゲーム企業の DeNA が球団を買収し、横浜 DeNA ベイスターズが誕生した。初代球団社長の池田純は、 IT 企業のマーケティング手法を球団経営に持ち込んだ。横浜スタジアムの座席を全面改修し、ビール片手に野球を楽しめる「 STAR SIDE 」席や、グループ向けの「ウィング席」など、多様な観戦スタイルを提案した。球場内の飲食も大幅に充実させ、「野球を見に行く」から「横浜スタジアムに遊びに行く」への意識転換を図った。

観客動員数の劇的回復

DeNA の経営改革は数字に表れた。買収前の 2011 年の年間観客動員数は約 110 万人であったが、 2019 年には約 228 万人に倍増した。 1 試合平均観客数は 31,000 人を超え、横浜スタジアムの稼働率は 95% に達した。チケットの完売試合が続出し、「チケットが取れない球団」に変貌した。 SNS を活用したファンコミュニケーション、女性ファン向けのイベント、地域の商店街との連携など、多角的なマーケティングが奏功した。

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チーム強化と 2017 年日本シリーズ

経営改革と並行して、チーム強化も進んだ。 2015 年にアレックス・ラミレスが監督に就任し、筒香嘉智を 4 番に据えた打線は破壊力を増した。 2016 年にはクライマックスシリーズに初進出し、 2017 年には日本シリーズに進出した (ソフトバンクに 2 勝 4 敗で敗退)。 2024 年には三浦大輔監督のもとで 3 位からクライマックスシリーズを勝ち上がり、日本シリーズでソフトバンクを破って 26 年ぶりの日本一に輝いた。 ただし、経営モデルの成功は市場環境に依存する。ある球団で成功した手法が、別の地域や規模の球団にそのまま適用できるとは限らない。